橋梁歩き初めの日のベストショット(川崎ミューザデッキ)
“修論で忙しい”“卒設で忙しい”は、詐欺って誰かがつぶやいていた。笑
…忙しさにかまけてブログの更新をしなくなり出すときりがないのでしっかりと更新。
2012年の始まりは、初めごとづくしでスタート。
01_ 1/5 高校時代のクラス会(6年ぶり初)
02_ 1/7 橋梁歩き初め(BDY企画)
03_ 1/8 描き初め2012 即日設計会(GSDy企画)
01_川高クラス会
川高のクラス会を通じて思ったのは、やっぱり川高っていいなということ。
6年ぶりだけど違和感なく、昔の下らない話で盛り上がる。
もちろん真面目な話もできる。
みんな一流の企業に内定が決まっているのを聞いて、
すごいなーと思ったし、負けてられないなとも心を入れ替えられたと思う。
それぞれ、「夢」や「考え」を持って6年間成長してきている、そんな感じだった。
未来志向が強く、日々あまり昔のことを省みずに、前に前に進んでいく自分にとって
同窓会とか過去を大切に省みる時間の大切さをすごく感じた日だった。
02_「2012年、橋梁歩き初め」
新港サークルウォークの上で。
1/7は、横浜・川崎へ橋梁見学会へ
若手コンサルタントの同志3人(まだ自分は学生ですが)で
秘密裏に活動を始めたBDY主催(表向きは、GSDy主催)で企画したもの。
大日本コンサルタントの松井さんをゲストとしてお呼びして、1日歩いてまわった。
午前中、中川沿いの橋梁については、
卒論で対象としていたこともあって参加者に説明をする側にもまわってみた。
人に自分の知識を伝える難しさも感じたし、
伝えることで自分の中で整理されていく感覚も得られた。
常々気になっていた橋の色彩についても色見本帳でチェック!
川崎ミューザデッキの上で。
松井さんとの橋梁歩きは刺激的だった。
何度も横浜や川崎の橋は訪れてはいたが、
1人で見ているだけでは気づけなかった設計における「苦労」「努力」「工夫」
お話を伺うことで色んなことが見えてきた。
特に、お話を伺っていて思ったのは、
“「際」のデザイン”がすごく難しいんだなということ。
建築や土木といった、分野間のコミュニュケーションの「際」であったり
部材と部材の「際」のディテールだったり
…
この部分が構造的にもキモ。
しかも、シェルター端部の照明の為にもう一工夫されている。
学生なりに、ある「理想」を描きながら物事を批評的に見ている(見てきた)。
それ自体は間違っていないと思っているし、学生にしかできないことと思っている。
しかし、実務・ものづくりの現場に出れば様々な難しさがあるのだと、改めて。
もっともっと注意深く、批評的に物事を見ていく努力と、専門知識、審美眼を持たねばと思う。
来年からはその「理想」とは少し離れて「現実」が直ぐそこに横たわっている環境で、日々の仕事と対峙しなければならない。
「現実」は学びながらも常に「理想」は追い求めていたい。
現実に打ちのめされるのではなく、現実を打開していく。
そうありたいと思うし、そうあれるように強くなる、スマートになる。
そこには常に、批評的に物事を見ていく努力と、専門知識、審美眼が必要だろう。
そして、今年の目標である「感性」の鋭さ。アンテナの感受性。
状況は厳しいのだろうけど、プラス思考で「現実」と「理想」を上手く行き来したい。
そんな決意を胸に歩き明かした1日だった。
03_ 描き初め2012 即日設計会
毎年恒例の年始の即日設計会。
毎年楽しみにしていながらも去年は参加できなかった。
3年前
講師:藤本壮介さんで、参宮橋周辺地域に3つのキーワードを選んで、それに即して提案するという内容→5位
2年前
講師:堀部安嗣さんで、本郷地区の敷地に3つの隣合う住宅を設計し、風景を創りなさいという内容→2位/オーディエンス賞
そして今年。
講師:藤村龍至さんで、テーマが「超鴬谷」
新年会明けオールで朝の課題説明に来て下さった藤村さん@鴬谷
鴬谷駅の既存地域側から「鴬谷らしさ」を抽出し、線路を挟んだ墓地の敷地を更地として考えて、そこに新たな都市を設計しなさいという内容。
はっきり言って、朝課題の内容を聞いた時は即日設計で出来る内容ではないと思った。
しかし、今回の課題のアウトプットの絞込み方が秀逸だった。
1/500のA3程の敷地に建物のボリュームや道路、空地などの模型表現のみ。
かなり絞り込んだ内容だった。
また、プロトタイプ(第一案)とプロダクト(最終案)のプロセスも評価対象。
←この辺りが藤村さん、超線形っぽい。
本当におもしろい課題だった。
藤村さん、そして所員の伊藤さん、運営代表の二人には本当に感謝の意を述べたい。
我々の班の提案を簡単にまとめておきたいと思う。
ー30分の敷地サーベイ・その後の地図やネットを用いた調査から把握したことー
•鴬谷駅周辺地区は、空地・駐車場が多い
建替えを控えた空地に加え、東京都心部の駅前にも関わらず圧倒的にコインパーキングが多い。これはこのまちの人々の為のものではなく、ラブホテルを利用する人々、つまり外来者の人たちの為の空間である。
建替えを待つ空地
コインパーキングの虫食いと追いやられた古くからある樹々
•行止まり道や緩やかな曲線の道、隠された豊かな空地の形跡
昔、小川が流れていたことや、この辺りは自然発生的に建物が増加していったこともあり特徴的な街路パターンが形成されている。独特のスケール感がある。
また、現在は典型的な「がわとあんこ」状態である街区、ラブホテルに取り囲まれている。しかし、その中には昔あった豊かな空地の形跡や、鴬谷らしさが隠されている。
奥に見える空地の豊かな感じ
周知のように鴬谷には大量のラブホテルがある。歩いていて気がついたのはラブホテル
が持つ「ピロティー」状のウォークスルー可能な空間構成である。
マンション1階もこのアーキタイプを持っていた(奥に路地が見える)
ー提案の概要ー
以上の様な、サーベイの結果から
都市のキャパシティーは担保した開発とするために、
都市の持つ「がわとあんこ」の関係性は許容したまま鴬谷を「反転」
隠されていた鴬谷らしさを再表現し、超鴬谷を提案した。
具体的には、昔そうであったように街区内部に空地を配置する。
これは、現状のこのまちにとってマイナス利用となっている空地を
このまちにとってプラス利用していこうとするものである。
また「反転」の手法として、ラブホテルのアーキタイプであるピロティーを用いる。
街区周縁にピロティー状の建築を配置することで、
内部の空地に人々を迷い込ませていく都市形態プランを提案した。
ピロティーから垣間見える豊かな空地、路地等々が連単していくことで
人々が回遊し、豊かなまちを形成できる。
ヒルサイドテラスで槇文彦が実験したことを、
より大きなスケールの都市へと展開する、そんな提案である。
大まかにまとめるとそんな感じになる。
もちろん、それによって周辺の上野公園やお寺、レベル差のある線路反対側のまちとの関係も反映させて街区割り、建物のスケール等を決めていった。
ちゃんと提案を後でパネルとかにまとめとかなきゃな。
ひとまず、これくらいで。
実際の模型。
最終提出:プロダクトタイプ(17時)(事務局撮影)
2時間で「空地」と「ピロティー」「路地」の連関性を高めた配置へとブラッシュアップ。
また、建物や道路等のスケール感をブラッシュアップ。
でも、サーベイ開始5分くらいで空地の位置をプロットし始めていた。
ラブホテルのアーキタイプにも気づいていた。
そこで提案の方向性は既に決まっていたように思う。
結果として、今回は最優秀賞を頂くことができた。
3年目にして初めての1位。
というか、やってきた数あるコンペで初めて1位。
…万年2位の佐々木研と言われていたし。
賞状。
これまで積み重ねてきたことが、学生最後の最後で実を結んだ感じ。
振り返ってみて、これだっていう感覚を持てたこと、
それに気づけたことが結果よりも何よりも一番大切な経験だったと思う。
強引に進めたにもかかわらず、
文句も言わずに最後まで一緒に取り組んでくれた二人には感謝をしたい。
それに、これをキッカケに更にいっぱい勉強して欲しい(自戒も込めて)
戦いのあと。超線形プロセスの実践は模型づくりの戦いだった。
パソコン片手に評価マトリクス表を作成する藤村さん
アルド・ロッシの「類推的都市」を即日設計会のテーマとして設定していたそう。
東工大の塚本研が良くやっている構成論的な考え方を基本とした評価基準の設定。
•建築ボリュームや道路、空地の構成論的な解釈ができているか。
•街区や建物のスケール感は合致しているか。
•都市と建築等のモルフォロジーをクリエイティブに関連づけた提案ができているか。
明快にマトリクス的に点数化。
それらに加えて、ディスカッションタイムでの内容を加味して最終評価。
今回の参加者の傾向としては道路の解釈が弱かったという分析で締めくくった。
最後、懇親会の席で藤村さんを囲み今後の日本について
熱く、じっくりと語れたのは何よりも楽しかったし、非常に勉強になった。
藤村さんのボキャブラリーの豊富さ、論理的話術、話の受答えのスピード…完敗だった。
頑張ろう、負けないように。
そう同じ川越高校出身で、都市に関わる者として、負けていられない。
P.S. 藤村さんはウォーターボーイズだったというのが、この日の最大の発見