12月の学会の際に京大のブラザー達と行ったKAIT工房
今更ながら振り返ってみる
[概要]
名称:神奈川工科大学 KAIT工房
竣工:2008
設計:石上純也建築設計事務所、小西泰孝建築構造設計事務所
場所:神奈川県厚木市 神奈川工科大学キャンパス内
抽象度の高い空間
ミース→伊藤豊雄→妹島和世→石上純也
by藤森照信
非常にエッジがシャープに強調された外観
ファサードのガラス面と屋根のフェイシャルラインを合わせ
スカイラインを一直線に切っている
起しているのは、エントランスの張出し屋根のみ
その取付かたも至ってシンプル
大きさからいってほぼ機能していないものと思われるのでなくても良かった様な気もする
ガラス面に映込む木々や周辺の校舎
なんだかキャンパスの中でバランスしながら適度な存在感
中に入ると、こんな感じ
2000平方メートルの空間に
柱の数が305本
ランダムに林立して
林の様な不思議な空間をつくっている
本当にたくさんの柱がランダムにはえている
それらと共存する様なカタチで工房が使われているところに利用者の努力が見える
石上純也曰く
そもそも構造体であるのかどうかよく分からない状態にしている
力の流れ方が見えてしまうと、空間の骨格のようなものをつくってしまう
とにかく、このプロジェクトでは空間の曖昧さを追求したかった
梁に予め荷重をかけてたわませた状態で水平力を受ける柱を上から吊るし
そのもう一端を床に固定してから荷重を抜く
その操作で水平力を受ける柱に張力を与えて柱にかかる圧縮力と相殺する
これによって鉛直荷重のかかる柱と水平荷重のかかる柱の見た目の相違をなくす
まったく構造的には無駄なことをたくさんしている
しかし、そういう考え方もいいな
橋梁、構造デザインを学んでいるものからすると
奇想天外な発想だけど
橋梁では力の可視化が重要だもんね
非常に垂直性の強い空間で、屋根も高い
そんな中でこのちっちゃな椅子やテーブルはさらにスケール感覚を狂わせる
かわいいけど
「速度の遅さ」と建築
をすごく気にしてつくっていると。
古い家具や植物の持つ時間、速度
最先端の構造を駆使した抽象度の高い白い空間
対比的にそれらをぶつかり合わせることでそれぞれを引立て合ったいる
岡本太郎の対極主義のようなやり口
内部からガラスファサードをみる
3センチ位のガラスの柱の様なものが一定スパンで取り付けられており
これらが水平荷重を受ける構造部材としても効いているよう
トップライト部分と梁と柱の取合い
ストライプ上に結構なライン数、配置されている
冬は良いが夏は利用者はきついだろうな
至る所に布や上が張られ直射日光を遮っている
でも、これが室内の植物には大切なことなのかもしれない
ひと時をその工房で過ごす人(学生)にとっての良好な空間
長い時をそこで過ごす植物にとっての良好な空間
これらは同じではない
犠牲(過度な空調設備)を払っても共存させたい
そんなところか
概念や作品としては非常に面白いが
やっぱり少し「人」「環境」「構造」など
素直じゃない、捻くれすぎてて気になるところ
柱と梁の取合いは非常にシンプル
屋根も素っ気ない感じ
でもそれが工房ぽくって良い
なんだか色々と考えさせられる訪問でした
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