20111017

Political Dress から得た雑感




「自由のためのデザイン、デザインにおける自由」は、ポーランドの社会、政治、文化の
変遷時期に当たる1981年から2011年を背景にした、初のプロジェクト。ポーランド近代の
あまり知られてない豊かなビジュアルの歴史を紹介する重要な試みです。

本展では「芸術における表現の自由とは何か」を主題に、共産主義からヨーロッパと
並ぶ民主主義国家への発展のなか、自由の限界、芸術と社会との依存性、真実の定義
といった社会問題を背景に生まれたグラフィックデザインを今一度振り返ります。

共産主義時代に自由の為に戦ったアーティスト達が、現在の新自由主義のポーランド
において、どのように消費者の最先端に立つデザイナーへと変化していったのか。

ポスターや雑誌、新聞、書籍、パッケージ、ロゴなどのデザイン展示を中心に、
レクチャーやフィルム上映などのプログラムも交えてご紹介します。

以上、【クラスカHPより】http://www.claska.com/news/eightgallery/



お誘いをうけてを上記のプロジェクトの一環としての「Political Dress」を観てきた。

ポーランド映画というのは見たことがなかったので勢いで見に行った部分もあったが、期待以上の知識を得れたことは嬉しかった。

ドキュメンタリー的な映画で、ポーランドを生きてきた数人の証言と当時の映像や写真などを中心に構成されており、ポーランドの社会と政治とそれを取り巻くサブカルチャーの変遷の歴史が非常に明快に表現されていた。


「Political Dress」 2011年 / ポーランド / 73分
監督:JUDYTA FIBIGER(ユディタ・フィビゲル)
脚本:JUDYTA FIBIGER, EWA OLBRYCHSKA(エヴァ・オルブリフスカ)


後半、文化学園大学准教授の田中里尚氏による服飾の歴史についての話は非常に興味深かった。

政治と歩を共にする時期、一方で政治に反旗を翻す時期。
ファッションには二面性がある。

ポーランドにおいては明確にファッションというものがその二面性を持ちながら社会や政治と深い関係を持ってきたことが映画から理解できた。

一方で、日本ではどうだろう?この回答は得られなかった。

先日の東京2050では、GSチームの提案として40年毎の歌曲、映画、漫画の歴史的変遷を都市の関係性で考察していた。

ファッションはどうだろう?
都市との結びつき、関係性は記述できるのだろうか?
社会との結びつき、関係性は記述できるのだろうか?

答えは、感覚的だけれど「NO」な気がする。

確かに、まちは時代時代のファッションの流行でその時代時代の雰囲気の様なものをつくってきただろう。

しかし、日本のファッションはあまりにも商業主義に迎合しすぎてきたように思う。(ここ数十年の間?)

今もそうだと思う、雑誌をはじめとした広告表現をみればそれは理解できるように思う。

購買意欲をかき立てるテクニックを駆使したものばかり。
他人と同化したい日本人気質を逆手に取ったスナップ写真集。

服に対する哲学やコンセプトがあるものが少ない。


僕は、「山本耀司」みたいな人が好きだ。
この前の渋谷西武のダイアローグ展覧会でもそれを再認識した。

今、日本にどれくらい哲学や通呈するコンセプトのあるデザイナーがいるだろうか?

三宅一生、吉岡徳人も大好きだけど、それとはまた少し違う様な気もする。

優れた感性やアイデアで成立するデザインが日本はお得意のような気がする。
それが、世界を驚かせているのも事実、それが日本らしさか?


この点は知識不足甚だしいので、結論なくダラダラ書くのはやめよう。



もう一点、感じたこと。

そのデザインの生きる期間は短いけれど、力のあるアートやファッション。

一方で、長い時間そのデザインが影響を持ち続ける、建築や土木構造物。
特に後者はそこに短期的に強い影響力を持たせようとすると失敗することが多々ある。

社会や政治と共に歩んできた土木や建築。

冒頭に戻ると、社会や政治に反旗を翻す術はないのだろうか?

新しい価値観や社会のあり方をなんとか示唆することはできないのだろうか。

某大先輩が論説で書かかれていた「市民土木」
違う!と言われそうだけど、なんだか近しい感覚を受けた。

市民と土木や建築で、政治に影響力を持ち得ないか。
クライアントが公共である時点で無理な話、はちゃめちゃだろというのは重々承知。

でも、昨今のまちづくりの事例を見ていると市民主体のシステムを構築して、行政を動かしていく場面が多いように思う。studio-Lの仕事を見てると本当にそう思う。

市民>行政の構図を上手く利用していくことにチャンスを感じる。

上辺だけの市民参加なんて無意味だ。


そんな2つの雑感を得た、映画上映会でした。
ちゃんちゃん


No comments:

Post a Comment