20101115

昭和記念公園




秋晴で日は温かく散歩日和の中、立川駅に向う。

自宅からだと朝霞台ー北朝霞から乗り換えで1時間ちょっとで着くところを、何を思ったか電車の中で『informal』に夢中になり過ぎて、池袋まででてしまい新宿まわりで1時間半かかって到着。

立川には2年前かな、北川フラムが仕掛けたパブリックアートを調査しに一度来たことがあったが、それ以来。

立川のモノレールやその周辺施設は、2003年の景観デザイン賞を受賞している。


























写真をと思ったがあまり撮る気にならず、そのまま通過して昭和記念公園公園へ。
駅から徒歩5分位、徐々に緑の塊が見えてくる。

ゲートをくぐると目の前にドーンっと、グリングリンみたいな建築。
…案の定、設計者は伊藤豊雄。



その建物足元で、進士先生と合流。
今日が最後のフィールドワーク。本当にためになる授業だった、ランドスケープ特論。
進士先生のフランクさ、博学さ、こんな先生はなかなかいない。本当にこの世代の方々は博学な方が多く、頭が下がる。

外部空間にさらされたエスカレーターで屋上庭園へ移動。

昨年行って絶句したグリングリン。
屋上緑化にタラップ、ゴツい手摺がまとわりつき、建築が創り出す繊細な曲線を破壊し、煩雑で全く気持ち良くない空間をつくっていた。

それと比べると、凄く良くなっていた。
ここでは建築が徹底して公園化し、起伏のあるランドスケープが展開されている。

グリングリンの後作とのこと。

伊藤さんはランドスケープに疎く、進士先生のところに所員を送り込みランドスケープとは何かを勉強させたらしい。

屋上庭園はその奥の公園の連絡橋『みどり橋』とシームレスに繋がる。
この建築はレベル差を埋める機能を持たせているようだ。

ちなみに「みどり橋」は大日本コンサルタントの仕事のようである。
黒島さんが担当らしい。(参照)シュライヒ来日記念ブックレット




屋上庭園で公園の種類や規模、歴史的流れや問題点、社会のカラクリ等のレクチャー頂き、いざFWへ。

この公園は昭和天皇在位50年を記念してつくられた公園。

国立公園ではなく、国営公園。
国営公園は70〜80年より公園を増やす施策の中で生まれた公園区分。色々な口実で国営公園をつくり、当時世界比較では低かった公園整備率を向上させようとしたらしい。
地元の森林公園もこれらしい、初めて知った。

元々は米軍基地跡地で、立川は基地の街だったが、基地が横須賀に移転になった為、この地に公園がつくられた。

マスタープラン、佐藤章。(漢字合ってるのかな。。。)

日本のランドスケープデザインは広大な敷地のデザインが下手。
この公園も統一したコンセプトなしに、分割したモザイク状、幕の内弁当的なものとなっている良い事例だとゆうこと。
この公園も、象設計集団や北川原温、伊藤豊雄などの著名建築家、高野ランドスケーププランニング、榊原八郎、伊藤邦衛などの造園家などが関与し、それぞれのゾーン毎に設計を行っている。

実際に周ってみると分かるが、日本庭園、フランス式、農村風景、、、様々なテーマが盛り込まれたテーマパークだ。
園内にはディズニーランドさながらのバスも走っている。






デザイン的には多様性があり利用者にとってはある意味ではニーズを捉えているかもしれない。

また、これまたDLさながら公園の運営組織が充実していて、プログラムが年間何百もあるらしい。
パークマネージメントだね。
どこも大きな公園はやられているもんですね。

ここでは今回、草月会とゆう団体がアーティスト参加で、生態系の循環を意図し、材料は公園に落ちているものでナチュラルアーキテクチャの企画を行って展示されていた。


みどり橋を渡ると、フランス式のビスタアイストップの関係が目前に。




この地区の設計は、伊藤邦衛。
ー伊藤邦衛 Data
1924年ー 広島県出身
造園家、作庭家、環境デザイナー
農大→清水建設→1963年伊藤造園設計事務所設立

先週のFWで行った本郷給水公園の設計者でもある。

彼のデザインの特徴は、廃材の大理石を用いた、モザイク大理石舗装、石積みのディテールのこば積み(パーゴラ、階段の蹴上、噴水の柱全て統一でこば積みを用いている。)










ここで進士五十八レクチャーが入る。

•でこぼこ石タイル舗装は目地を深めにとることがミソ


•芝生は踏んであげなきゃダメで踏圧が必要。でないと徒長しちゃう、特に日本芝は。
日本の芝生は囲い込んで踏ませないように管理したりしているが、そんな公園管理はナンセンス

•ビスタはレベルを上げていくものである。景観は見下ろすものではない⇨昭和記念公園のもこはレベルが下がっている

•グランカナール(ビスタアイストップの関係)は水平線まで抜くくらいスケールを大きくしなければダメ。ベルサイは2kmある
⇨昭和記念公園では料金所の配置が悪くスケールが小さい
⇨しかし、振り向けば公園外までその軸が見える。街割は連動しているので、アーバンデザインで街と公園を連動させてスケールの大きいビスタアイストップの関係を創り出すことが可能なのではと思った




•グランカナール内の噴水 4つ
間隔を変えて遠近法に沿わしているが、日本はそこまでやらない





•銀杏の仕立て方:ボスケ⇨フランス式のやり方で非常に建築的な植栽のランドスケープ利用である





フランス式の次は日本庭園。
昭和記念公園の日本庭園の設計者は榊原八朗。
六本木ヒルズ毛利庭園、ミッドタウン内の庭園ともに榊原八朗設計である。

日本庭園の質は建築で決まるので、庭園内に二つと同じものは置かれていない。屋根、壁、水との距離等変化をつけ多様性を出している。

すごい園路w
緒方、榊原共に極端な曲線園路をつかう癖あるとのこと。




東屋は  フレーミングが重要(見切りという手法)で、座った高さに窓が合わせてある。
水平線構成要素が多く、水平窓が続いており270度パノラマを形成している。




この庭園は秋を意識してつくられており、紅葉樹が池を取り囲む。
ベースは水平構成要素で赤松で奥行きをつくりだしている。

岩橋(飛石)、切石の橋、人工的な橋と色々な橋の組み合わせをすることで風景の添景の役割を果たしている。

左岸洲浜は生態系でいうエコトーン、陸と水の緩やかな連続を保つ役割をもっている。

水位設定と石の配置も重要。
水位を固定するか、自由にして自然を活かすか。

その後は農村風景のエリア、盆栽園へ。

石積みも雑感を持たせ石のスケールもヒューマンスケールなものを利用している。
⇨ルーラルランドスケープ


FW終了し、帰り道やたら園路のアスファルト舗装が広すぎるなと思った。たぶん8mくらいか。
管理用車両のためだろうが、もう少しアスファルト面を減らせるよな。

帰りに昭和記念公園から見えた夕焼けの富士。
ものすごい綺麗だった。





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